敷地は手前の敷地より一段高いが、奥の隣接地や向かい側の坂上の敷地からの視線が通りやすい。そのために生活の中心となるテラスは、そうした視線も避ける必要があった(ここは食事の場であると同時に、夫妻が共に朝のヨガ体操をする場でもあり、それが興味本位で覗きこまれることを防がなければならない)。こういう場合、私のいつもの手法では、外壁と同じ仕上げの塀を高くめぐらすので、それは建物のスケール感を広げる効果もある。
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しかしこの家の場合は、そうした手法が建物の偉容を増し過ぎて拒絶感につながる懸念もあったので、鉄筋コンクリートにシャモットータイル貼りの壁の上に、テラス床と同じ防腐加工をした角材を積み上げて囲いをつくり、それを植栽で補った。その結果として、木の素材感と樹木の緑が外に対して固くなりがちな全体の表情や、テラスのインテリアの閉鎖感を和らげたのではないかと思っている。職業の特殊性は2階の間取りにも現れている。寝室が夫婦それぞれに分かれているのは、Mさんの生活時間が職業柄、不規則で、夜中でも声を出して台詞を覚えるからで、M夫妻は食べることを含めて生きる喜びを共有する仲良しの素敵な夫婦である。