集合住宅である分譲マンションに暮らし始めて十数年。大過なく過ごしてきたが、一度だけ肝を冷やしたことがある。我がマンションには通いの管理人しかいないのだが、ある夜のこと、警報器が管理人室で鳴りやまなかったのだ…しかも我が家が原因らしい。らしいというのは、見に行った管理人室の壁のボードで異常を知らせるランプが赤々と灯っていたのが、なんと我が家の部屋番号だったのだ。警報器を止めたくても(だって我が家には何の異常もないのだ)管理人室には鍵がかかっている。
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管理会社の電話番号を調べ、来てもらうにしても、その間中ベルは鳴り続けるのだろうか…と私は暗澹たる思いにとらわれた。結局その窮地を切り抜けられたのは、私がかつて順番に回ってくるマンションの理事会に副理事のひとりとして参加していたおかげだ。そのとき1年間、管理人室の鍵を預かっていた経験があったため、現理事にお願いして鍵を開けてもらうことができたのだ。まったく、どんな経験でもいつかは役に立つということだろうか。